パロマ工業製の湯沸かし器の一酸化炭素中毒事故や、ふじみ野市の市営プールの死亡事故の報道等を聞いて思い出すのは、災害心理学で話題にされる、「正常化の偏見」という人間の一般的な危機対応があります。
目の前に危険が迫ってくるまで、あるいは迫っているのに、その危険を認めようとしない人間の一般的な心理傾向を災害心理学では「正常化の偏見」と表現しています。
たしかに、原始時代の人間は日々生死を分ける大きな危険に直面して生きてきましたから、いつも厳しい心理的な緊張状態にさらされていました。そこで、危機が迫っていても、できるだけ危険度を低く判断して、緊張を緩和しようと自己防衛したのでしょう。それが、現代人の脳に刷り込まれているようです。
「正常化の偏見」により、危機の初期段階で正しい判断ができないと、損害規模は大きくなります。そこで、多くの企業では従業員に危機管理能力を高めるための企業内教育を実施しています。
それでも、「なぜ!」と思う重大事故が発生します。企業内でもみ消されて外部に報道されない重大事故も少なくありません。従業員教育や危機管理チェックリスト等を用いた危機予防活動も完全では無いのです。
財団法人日本体育施設協会の調査によると、1965年から2004年までに、プールの吸水口や排水口での事故は59件発生して54人が死亡しているようです。役所から通達も出ているようです。それでも、ふじみ野市の市営プールで事故が発生したのです。
人間の意識の個人差が大きいのです。
どんなにハード面の対策、システム面の対策を施しても、危機管理は完全ではありません。危機判断を複数の人間で実施することが重要です。
実務担当者に危機管理を任せきりではだめです。事故が起きてから、実務担当者を責めても手遅れです。最悪の場合、実務担当者を罪人にしてしまいます。
パロマ工業製の湯沸かし器の死亡事故多発については、会社幹部の責任と、経済産業省の関係者の責任は重いと思われます。また、パロマ工業以外の湯沸かし器についても、同様な事故が発生するリスクを認識して危機予防活動を進める必要があります。
ふじみ野市の市営プール死亡事故はアルバイト監視員の責任ではありません。管理会社の現場責任者や、ふじみ野市の職員の責任が重いと思われます。
一旦事故が起きると、実務者だけでなく管理者の責任が問われるリスクを管理者は意識して業務を遂行する必要があります。
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